俺との出会いは、おそらく風変わりな出会いだったのだと思う。あ、宍戸さんが「風変わりどころか変だろそれは」とか呟いてます。
 やっぱり変ですか・・・?
 
 
けれど大事な、
         とても大事な、
                 君との記憶。

 

破 天 荒 ガ ー ル

 

「やー、全然反省してないけど悪かった! おれ、っつーんだよろしく〜」
 反省していないと言いながら、豪快に笑い謝るのは、先ほど見事に友人に蹴りを入れた女の子、。『おれ』と言ってはいるが、女子の制服を着ているので女の子・・・なハズ。だよな?
 バッシバシと友人の肩を叩いて笑っている。
 
 
 ベリーショートの少し茶色がかったクセのありそうな髪の毛と、大きな黒い目。
 そして小柄だけれど、俊敏そうな細い体。
 スカートをはいていなかったら、絶対に男の子だと間違われるだろうどこか中世的な風貌の少女。
 僕の今まで生活してきた中で、初めて出会うタイプの女の子だった。
 
 さっきの凶悪な出会いとは打って変わって、とても気さくにさんは話しかけて来たものだから、友人も毒気が抜けてしまったのだろう、笑いながら「まあいいさ」と言って自己紹介している。
「そっちの・・・」
 さんの視線が僕に移る。
 ふと、目線が同じって事は貴重かもしれない、と思った。
 最近はいつも見上げてばかりだったから。
 うん、これは少し嬉しい。
 
 自然と笑みが浮かんで、右手を彼女に差し出して自己紹介。
「僕は鳳長太郎。よろしくさん?」
 すぐにさんは満面の笑みで僕の右手を握ってブンブンと振る。
「わわわわっ」
「オオトリなんてかっちょいい苗字じゃーん! さんなんて付けなくてでいいよ! おれも鳳って呼ぶからさ。よろしく、鳳!」
「わかった。よろしく
「お互いこれからが成長期なんだがんばろうぜっ」
 きっと周りを見渡して(・・・悲しいくらいに自分たちの周りは150センチ↑ばかりだった)切実な顔で訴えてくるがなんだかおかしい。
 
「おいチビッ子コンビ」
「チビナメンナ」
 友人の発した声にすかさず蹴りとツッコミを入れる
「まあまあ、落ち着いて。で、なに?」
 と攻防を繰り広げながら、友人が指し示す方向を見る。
 ボード前がようやく空いてきたみたいだった。
「前が空いてきたから行こうぜ」
 
 張り出されてるクラス割。
 クラス毎に載っているのではなくて、あらかじめ貰っていた番号の横に、クラスが割り振られている。
 僕ら3人共、ボードの前で各自番号を探す。
 
「えっと・・・あ、あった、1-G」
「オレは1-Bだな」
「さすがにクラスは合わないね」
 と話していたらの声。 
「おおとりおおとり! お前今1-Gっつった?!」
「え、うん1-Gに「1年間よろしくなっ」」
 僕の声は見事にの声で遮られ、そして元気いっぱいの笑顔が飛び込んでくる。
 
「1年間、よろしく」
 の笑顔と、不思議な高揚感。
 
 不思議と、この1年間がとても楽しくなる予感がした。
 
 そしてその予感が確信へと変わるのは、また後のお話。

 

 

 

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