「つまんなーい」
 
 授業をサボって、遠くを見つめる午後1時。
 とにかくダルい。なんで勉強なんてしてるんだろうとか考えちゃうあたりもう駄目。
 
「自分がいなくったって時間は過ぎちゃうくせに」
 正面の街並みを見つめてコトバを吐き出した。
 
「そんなことないよ〜?」
 
 突然背後から返事が返ってきて。
 驚いて、ばっと背後を振り向いた。
 
「! ジロ・・・ちゃん・・・」
 屋上入り口の屋根の上。うつぶせに寝転がっている同じクラスのジロちゃん。毎回いろいろな所で眠っていて、なぜか探すのも起こすのも決まって自分。
 
 そういえば今日は、ジロちゃんを探すどころか自分自身でいっぱいいっぱいだった。
 
が起こしてくれなきゃ俺ずっと寝てるC〜」
 
 ほら、時間が止まっちゃった。
 そう言って、瞳を閉じたジロちゃん。
 
「ジロちゃん、眠り姫みたい」
「じゃあは王子〜?」
 普通逆じゃん。
 思わずジロ姫を想像して笑っちゃう。
 さっきまでの荒んだ気持ちがすっと消えて一気に上機嫌。
 現金なワタクシだこと。
 
 瞳を瞑ったまま、楽しそうにジロちゃんが仰向けになって言った。
「俺、姫らしく王子のちゅうで目が覚めるの待ってるC〜」
 
 じゃあ自分も王子らしくいってみようか。
 
 
 眠り姫、私のくちづけで起きてくださいますか?
 
 

- 眠 り 姫 -