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エフラム×ターナ
 
> 聖魔の光石 > エフラム×ターナ > ひとしお
2005/5/25
ひとしお
 出会った時から、ずぅっと見てたのよ?
 
 最初はその強い視線が気になって。話しかけてみたら、とても楽しそうに笑う男の子だって知って。
 槍術が大好きで、遊びに来るたびに、いつも傷だらけで駆け回っていたよね。
 落ち着いてる事なんてなくて、いつもお付きの人が泣きそうになりながら探してたっけ。そしてわたしも探して追いかける側。
 
 探し出すといつも兄と勝負ばかりしていて、わたしになんてこれっぽちも見向きもしなかった。でも、そんな一つにいつでも直球に進んでいく姿も目が離せなかった。
 いつも決まって、最後にようやくわたしに気づいてくれて。
 
「ずっといたのか」
 毎回そっけない言葉をくれたよね。
 でも、その瞬間がわたしの楽しみだった。いつでも最後には絶対に気がついて、声、かけてくれたから。
 戦争で行方がわからなくなった時、初めて思った。
 なんでもっと話さなかったんだろう。
 もっとたくさん、話したいことがあったのに。
 もっと、もっと、いっぱい…っ
   
 
 
「ターナ、何百面相してるんだ?」
「え? あ…エフラム?」
 
「部屋に入っても気づかないしな。何ぼーっとしてたんだ?」
「む、失礼ね。ぼーっとなんてしてないわ」
「いやしてた」
「してないもっ! ただ…」
「? なんだターナ、今度は」
 
 いつも、思ってる。
 いつも、想ってる。

 
「…エフラムの側にいられて幸せだなぁって」
 
「そうか」
 やっぱり素っ気ない返事を一つ。
 でも、大好きな、不敵な顔が優しい笑顔に変わる。
 
 いつも最後には絶対気がついてくれた。
 今は、ふと気付けばエフラムの存在を感じられる。
 それがとても幸せで。
 
 いつも、思ってる。
 いつも、想ってる。
 
 大好きな貴方の事を。
 
 
> 聖魔の光石 > エフラム×ターナ > 元気
2005/5/20
元気
「エフラム、エフラム、こっち向いて?」
「なんだ?」
「エフラムの目線独り占めっ♪」

「ターナ??」
「エフラム、最近疲れてるでしょ?」
「そんな事は…っ!? おい、ターナ!」
「なぁに?」

「…まぁいいか」
 
「ぎゅってされると安心しない? エフラムは知らない間に疲れてるからわたしが気がついてあげる」
「そうか。ありがとうな、ターナ」
「どういたしましてっ♪」
 
「で、だ。…こんなに抱擁されてると、襲いたくなるんだが」
「!!!!!? え、えふらむっ…!?」
「ターナから元気を分けて貰ったところだし、な」
「!!? わたしに使わなくていいからっ、お仕事とかに使ってっ? ねっっ?」
「ターナはイヤなのか?」
 
「……エフラムはずるい…わたしが嫌だって言えないの知ってるくせに!」
「そうだな、オレはズルいな」
 
「でも、大好きよ?」
 
「…ターナは凄い」
「?」
「実は治癒魔法が使えるんだろう?」
「使えないよ?」
「使ってる」
 
 
「ターナ自身がオレだけの魔法なんだからな」
 
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> 聖戦の系譜 > フィン > いつかきっと行ける永遠
いつかきっと行ける永遠
「フィン、話があるっ!」
 
 どちらかといえば父親似の、だけれども好奇心旺盛な所は母親似の少年=リーフがフィンに話しかける。
 今、リーフの表情は、好奇心旺盛な年相応の少年の顔。
…戦場では見られない顔。
 こういう表情を見る度、フィンはほっとする。
…この状況の中、リーフはどこ曲がることなく成長してくれた。
 
 聖戦は終わりを告げ、ある意味これからが本当の戦い。それでも少年は明るく笑ってくれる。
 
「はい、なんでしょうか?」
 
「父上と母上の話を、聞いておこうと思って」
 フィンにとっては不思議な事を、リーフが口に出す。
「??」
 幼いときから、リーフには2人の話を嫌というほど話してきた。そういうわけで、この突然の「話」は不思議なことだった。
 にっこりと、リーフがエスリン似の甘い笑顔を見せる。
「いつも聞いている話じゃなくて。フィンが感じた二人の話を聞きたい」
 
−飾らなくてもいいから、立派でなくてもいいから
…普段の2人の事が知りたい。
 
「それは…」
「一番身近にいたフィンなら知ってるだろ?」
 近くの大窓の枠に、身軽にリーフが飛び乗った。
「リーフ様!!」
「これくらいは大目に見てくれよ、フィン」
 片目を器用に閉じて、ウィンク。
 
《…これくらいは大目に見ろ、フィン…》
 
「あ…?!」
 今しっかりと重なった、姿。

 
 
 □


 
 
「フィンは生真面目すぎるぞ」
 
 苦笑しながらキュアン様が断言する。
「そこがフィンらしくていいけれど、でしょ?」
 エスリン様がいたずらっこのように言葉を追加する。
「…エスリン。それじゃあグチになってないだろ」
 おろおろしている私を目の前に、二人の会話はぽんぽんと弾む。
 なんとなくだが、自分はお二人に遊ばれてる?
「グチるつもりだったの? フィンに? フィンは生真面目なんでしょ、 真剣にその言葉を取っちゃうかもよ。ねえ、フィン?」
 くすくす笑ってエスリン様が凄いことを言う。
…その通りで何とも言えないが。
「うー。俺をイジメて楽しいか、エスリン…」
「ええ、とっても。大好きなあなたですもの☆」
 ぎゅっと、エスリン様がキュアン様の腕を抱きしめる。
 私はダシ?
 いやでも、こんなお二人を見ているのが一番平和だと思う。幸せだと思う。

「君には一生勝てないよ、エスリン。…フィン」
「は、はいっ!!」
 大きな声で返事をしすぎたら、お二人に爆笑されてしまった。
 でも、優しい眼差し。暖かい空気。いつだってこのお二人のいる場所が、自分の帰るべき所。
「からかってすまなかったな。あー、で何だ、その」
 エスリン様が横からキュアン様の脇腹をつつく。
「私達二人、生真面目で頑固なフィンが大好きよ。さっきの事は気にしないでね」
 少女の面影を残した笑顔で、エスリン様がそう語る。
 
−『弟みたいでつい、構いたくなるのよ』と言ったエスリン様に、キュアン様が『そうかも』と言って笑った。

 大切で、大切で…そして…大好きだった場所。
 お二人がとても好きでした。
 主君として、騎士として…暖かい絆として…


 
 
「フィン?!」
 リーフが慌ててフィンの側に駆け寄る。
「大丈夫か?? 急に涙を流すからっ!」
 困った顔。
「は。大丈夫です…。少し、気が緩んだようで、情けないですね」
「…別に無理に話さなくてもいいよ?」
 妙に悟った顔でリーフが呟く。
 フィンは涙をぐいっと手の甲で拭うと、リーフに思い切りよく頭を下げる。
「いいえ。喜んでお話しさせていただきます」
 顔を上げたフィンの表情は、とても晴れやかだった。
 
「本当かい!」
 破顔して喜ぶリーフ。でも、少し不満そうに話す。
「フィンは僕の家族同然なんだから、誰もいないところで頭なんか下げないでよ?」
「は、はぁ。善処します」
 ぷっと、リーフが吹き出す。
「生真面目だなぁ、フィン。でもそんなフィンが大好きだよ!!」
 フィンは静かに微笑む。

  
どんな深い絶望が襲ってきても、けっして希望は絶たれない。
いつかたどりつける場所があると、帰る場所があると、私は知ったから。

−キュアン様とエスリン様は、生き続けている。
 
それはリーフ様の中に。
アルテナ様の中に。
人々の記憶の中に。
  
…私の中に。
 
永遠に受け継がれていくのだ。

 
> 聖戦の系譜 > フィン×ラケシス
フィン×ラケシス
 
> 聖戦の系譜 > フィン×ラケシス > 青
2007/5/15
 晴れ渡った、どこまでも澄んだ空。目に飛び込んできた青空。
 この青を見やれば、思い出すのは彼の人の事だけだった。
 
 国を失い、兄を亡くし、それでも地面に足をしゃんと付けていられたのは、その人の存在がとても大きい。
 慰めの言葉など心の穴を通り抜けるだけの荒んだ日々、何も言わずにただ側にいてくれた。汚い言葉も醜い言葉もたくさん投げつけたと思う。けれど、彼はそこに居てくれた。
 ただ静かに、辛抱強く、私が心の整理をするのを見守っていたのだ。
 沈黙や静寂がこんなにも心地よいものだとあの人に出会って初めて知った。
 澄んだ雰囲気とその青を持っているあの人に、私が惹かれたのは必然だったのかもしれない。
 
 思いだして、ぐっと零れそうになる涙を堪える。
 伝えたいことがある。為さねばならないことがある。
 けれど、最終的に辿り着く想いは一つだけだった。
 
「・・・もう一度、会いたいの」
 
 どこまでも澄んだ空。蒼天。
 灼熱の砂漠でも、見上げるその青は変わらない。
 そしてこの青は彼の人の見上げる空にも続いているのだ。
 
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他聖戦小話
 
> 聖戦の系譜 > 他聖戦小話 > もう恋なんてしない
2007/9/2
もう恋なんてしない
ラクチェ→セリス
 セリスが去っていく。その姿が見えなくなるまで、ラナは人形のようにピクリとも動かずただ森の中たたずんでいた。
 
(困った・・・)
 たまたま通りがかったラクチェは出ていくタイミングが掴めず、息を潜めて木陰から様子を伺っていた。なぜ隠れたのか。とても2人が真剣に話していたから近寄りがたかったからかもしれない。
 
 セリスの姿が見えなくなった瞬間、遠目でもわかるラナが泣きくずれた。
 本能的に感じてしまった。先ほどの場面はラナからの愛の告白だったのだと。
 その姿を見て、ラクチェはどこかホッとした気持ちで息を吐いた。息を吐いた後、愕然とする。自分は何故安心などしているのだ。ラナは泣いているのに。
 
 セリスがラナを受け入れなくて良かったと、思ってしまった。
 たった一人を選ばないでと叫ぶ自分を見つけてしまった。
 自分は最低ではないか・・・。
 
 そうして、ラクチェは突然理解した。これが、恋なのかと。
 セリスを好きだと思う気持ちは、スカサハや仲間達に抱く気持ちとは違うのだと。
 
 どうしていいのか分からない。息が苦しかった。
 心臓が絞られて、圧迫されているような気がする。
 
 これが恋だというのならば、自分はもう二度と恋などするものか!
 ラクチェは痛む心の奥を押さえるように、きつく体に腕を回した。
 
> 聖戦の系譜 > 他聖戦小話 > 競牡丹くらべぼたん
2005/5/6
競牡丹くらべぼたん
エルトシャン×ラケシス
牡丹は百獣の王、獅子に描かれる定番の絵柄だそうです。
獅子といえばFE聖戦の系譜、エルトシャンしか出てこない貧相なボキャブラリーな自分な訳ですが。
真っ赤な牡丹はエルト兄さんにぴったりだとかなんだとか思っちゃったり。
別名「花王」「花神」「富貴草」
エルトシャンとラケシスはお互い支えあって成長してるといいなぁと。
ラケシスは兄を手伝えるようになりたくて自分を磨き、
エルトはそんな妹に相応しい兄になりたくて自分を成長させてそう。
「エルト兄様!」
 
 呼ばれてふっと、机に向かっていた顔を上げる。
 誰に呼ばれたなど考えるまでもなく。
「ラケシス、そんなに慌ててどうした?」
 執務室にノックもなしに飛び込んで来た、最愛の妹に声をかける。
 
「っ!? 兄様ごめんなさい。ノックもしないで扉を開けてしまって…」
 入ってから気付いたのか、慌ててラケシスが謝ってくる。
「気付いているなら、いい。次回から気をつけろ。
 それで、どうしたんだそんなに慌てて?」
 う…と一瞬ラケシスは声を詰まらせ、俺に視線を向けて、
「…エルト兄様の顔が見たかっただけで…えと、あの、元気になりました」
 潤んだ瞳をごまかすように微笑んでそう言った。
 椅子から立ち上がり、そっとラケシスを抱き寄せる。びく、とラケシスの身体が震えたのが伝わった。
「ラケシス、俺に嘘はつくな」
「っ…!」
 しばらく震えていたラケシスは、やんわりと俺の胸を押し返す。
 そして俺を見つめる。
 自分とそっくりの瞳の色に己の顔が映し出されるのをじっと見つめた。
「また…言われてしまって。兄様に相応しい妹になろうって思うのに」
 
『容姿だけはエルト様と同じ美しさの出来損ないの姫』
 
 古参の家臣達からよくそう評される妹。
 父が外で生ませた子供。
 己の母が亡くなってから、ラケシスとその母は父の元へやってきた。
 古参の臣下の評が厳しいのはその所為だろう。
 ラケシスが努力しても、彼らはその一つとして、知ろうとさえしないのだ。
 
「弱音を吐いてごめんなさい…。兄様に言うのは卑怯だってわかってはいるの」
 自分の力で彼らを納得させたいの…そう呟く。
 その言葉を語るラケシスの瞳は、凛としていて、先ほどまで手折られそうな雰囲気は微塵もなく。
「わかった。俺は何もしない。お前の力でヤツラを唸らせてみせろ」
 くしゃっと混ぜたラケシスの金の髪は、光に反射して明るく輝いた。
 
 初めて会った時から、俺の女神はお前だと思うくらいに輝いているのに。
 努力を惜しまない妹に…彼女に、どんどん惹かれていく己に気付く。
 この気持ちを打ち明ける事は出来はしないけれど。
 その彼女の最高の兄として、己はもっともっと高みを目指そう。
  
「兄様、大好き」
 
 
俺の運命の女神は嬉しそうに微笑んだ。
 
> 聖戦の系譜 > 他聖戦小話 > 決断
2007/5/20
決断
ラケシス
いつか書きたいフィンラケパラレル
「ラケシス。理解してやれとは言わないが、黙って送り出してやれ」
 ラケシスの髪を撫でながら、言い聞かせるようにゆっくりとエルトシャンは語る。
「ですけど、でも・・・お兄様!」
 俯いていたラケシスの顔がばっと上がる。その表情と瞳は、理解できずに理不尽に曇っていた。
「あいつは幼いが、中身はもう騎士なんだよ。俺も立場は違えど同じだから分かる。あいつにはすでに、誓うものが、目指すものが見えているんだ」
 フィンの心はすでにレンスターにあるのだろう。幼いながらも自分で選択した少年の決意を、エルトシャンは無碍になど出来はしなかった。おそらく父王もそうだったに違いない。
 
> 聖戦の系譜 > 他聖戦小話 > 愛の唄
愛の唄
ヨハンポエム→ラクチェ
無駄なくらいのルビが痛さを誘いますね(*´ω`*)
君の心はマリアナ海溝かいこう
僕はその海溝にどっぷりとはまってしまって、
抜け出すことが出来なくなってしまった。
何人この海溝にはまって溺死できししたのだろうか?
僕の愛の炎で君の海の水を全て乾かしてしまいたい。
そして地球ほし宇宙そらちりとなるまで、
永遠とわに君の側で愛を語っていたいものだ。
 
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