温泉ネタ
「そっち行ってもいいかー?」
 ランサーの声が夜空に木霊して私に届く。
 それは良いでしょう、それは。
 
 それよりも。
 
「来たら絶対殴りますいえむしろ全ての力を出し切って排除しますっ!!」
 自分でも何を言ってるのかワケが分からないまま息継ぎナシで喋る。
 こんな目にあっている原因、混浴露天風呂というものを理解せずに入った自分が憎い!
 そしてなぜ貴方が来るんですか!

「まぁいいけどよ。そろそろ30分以上経つが平気か?」
「こ、こっちを見ながら話さないっっ!! だ、大丈夫です!」
 貴方がそこにいるから動けないとは、なにやら恥ずかしくて言えない・・・。
 そしていい加減頭に血が上ってくらくらしてきた。私としたことがこれしきで・・・っ。
「・・・っ」

「ったく」
 ザバリと水の動く音。
 そして朦朧としてきた意識。
 けれど、でもでも!

 こ、来ないで〜!!

 迫り来る人影と、霞む視界とまとまらない思考。
 伸びて来た力強い腕は、見間違いなどではなく。

 私はこの時間から逃げるため、霞む意識を手放した。

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