記憶
シャーリー
「なんで…っ…!」
 手元から落ちたアルバム。そしてまるで地面がないように、崩れ落ちた膝。
 バラバラとアルバムに挟んであったであろう写真が散らばって、見たくもないのに嫌でも写真が目に入り込む。
 
 
 
 お父さんの遺品整理のために、久々に実家に帰った時にあたしは《それ》を見つけてしまった。家に持って来てあった学校のアルバム。
 何の気なしに開いて、あたしは蒼白になった。
 
 満面の笑顔で写っているあたし。
 そして、散らばった写真ほぼ全てに写っているのは。
 
「どお、して…」
 怖くて、怖くて、まるで悲鳴のような声が溢れる。
 最近、急にあたしの視界に入ってくるようになったあいつが、まるで最初からいたかのように、写っている。どの写真を見ても写っている。
 あたしと隣りあわせで笑ってる写真。生徒会の面々と一緒に写っている写真。どこを見ても写っているの。あたしは知らない。記憶にない。でも一緒に写っている。
 
 あいつが。
 ルルーシュ・ランペルージが。
 ゼロが!
 
「知らない。あたしは知らないっ…!」
 ボロボロと涙が零れ落ちる。唇が震える。
 指先にあった写真を握りつぶした。
 アレに関わるのはキケンだ!危険だ!

「…あんたなんて…知らない」
 そうだ、もう関わらない。こんな写真なんて見ない。
 あたしを不安にさせる、覆させるようなモノからは離れなきゃ。
 呪文のように「知らない」と唱える。
  
《ルル…》
 
 誰かの声が耳を掠めたような錯覚。
 
「関わらない。見ない。知らない…」
 それはすぐにあたしの記憶からは抹消される。
 ううん、そんなもの、ない。気のせいだよシャーリー。

 ね?

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2007/3/25
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