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> お祭り騒ぎだ!
お祭り騒ぎだ!
オールキャラ。レイナートルートでのヒトコマ。
「超絶スーパー魔法使い♪ ふーふーん。その名はぁ、その名はぁ♪」
「ふん、ラ・デリ、お前はまだ歌の良さを理解していないな…。これが真の歌だぁ!!」
 ボロンと、妖しげな楽器をメノルカが奏でながら歌い出す。
 騒ぎの種は蒔かれたのだった。
 それは大騒ぎを予感させる、一つの前兆?




「なあ、レイナート」
「なんです、レオンさん? あれ…ウェインまで?」
 レオンに声をかけられ、ウェインに肩を叩かれて、レイナートは笑顔で応答する。
 
「やめろメノルカっ!! お前の歌声で大陸が沈むッ」
 いつもは冷静なラインノールが、今にもブチ切れ(もう切れてる?)寸前で、メノルカに怒鳴っている。
「にゃは☆ 踊るのだ! 踊るのだぁっ!!」
 ユニがメノルカとラ・デリの妖しい歌にのって飛びはね始める。
「おっ!? 楽しそうじゃねぇーか。オレ様が太鼓を叩いてやるぜ! 光栄に思えよ!」
「ゴンゴス様のすばらしい太鼓が聞けるんですね!!」
「うお〜っ!!」
 数名の歓声と、太鼓の音が…踊りと歌に混じってますますワケがわからないものに変化していく。 

 
「……何か思うところがないかな、レイナート」
 ウェインが笑顔を凍らせたままレイナートに呟く。
「えっ? 何がです」
 レイナートは無邪気に微笑む。
 レオンが頭を抱えて、ぐっと指で示す。
「あれ、目にはいんないのか…お前は」
 ふっと、その方向にレイナートは目をやり、またにっこりと微笑む。
「ああ、あれですか」
 
 オルテガが思い切りよく笑いだし、嫌がるジョシュアをからかっている。
  
「リンクまで…」
 城内を見回し、さらに頭が痛そうにウェインが唸る。
「なんか、凄くなってねーか?」

 ギガとガンラドとグレンが、いつの間にか酒盛りも始めている。というか、そこかしこでなぜか乾杯のかけ声がする…。
 ちゃっかり端の方では、ジャロムがウリルにワインを持っていく姿も目に映る。

 
「はやく毎日、こんな風になるといいですねぇ」
 幸せそうにレイナートが呟く。一瞬…ウェインとレオンは固まった。
 
(毎日これなのか?!)
(レイナート、奥が深すぎるぜ…)
 
「喜びも悲しみも共にある、今この風景を早く…」
 それを聞いて、二人は安心したようにうなずく。
「まあ、な。今日くらいはハメ外してもいいかあ。明日からはまた戦いだ」
「そうだね」
 言い終わると、レオンは風のような素早さで駆け出す。
 
「おらぁ! アイロスっ!! 勝手に人の女に話しかけんなぁっ」
「…私がいつ、お前の女になった? レオン…?」
 ジュノーンの冷めた声が、レイナートとウェインにかすかに届く。
「ミカヅキさんにも見せてあげたいなぁ。今、この瞬間を」
「ああ」
 ウェインがまぶしそうに皆を見つめながら同意する。と、ウェインのマントを誰かがくいっと引いた。
「え? あ・ティリス。どうしたんだい」
 ふわんと、ティリスがウェインとレイナートに向かって笑う。
 それからウェインをしっかり見て、おねだりするように首を傾げた。
「ウェイン、私と踊ってくれる?」
 ウェインが照れたようにはにかむ。
「ああ、もちろん」
 すっと、腕をティリスに差し出して、優雅にティリスの手を取る。
「いってらしゃい〜」
 楽しそうなレイナートの声に、二人は笑って返事を返す。
 
「あら! 何一人でいんのよ。いつも一緒にいる子はどうしたんだい」
 突然響いた声に、レイナートはくすっと笑う。
「シャイアさん、なんかオヤジ入ってますよ? いつも一緒にいる子って…ソフィーの事でしょうか?」
 眼鏡をくいっと手で上げ直しながら、シャイアが苦笑する。
「そうそう、ソフィーだっけ? ふふ、オヤジ…。そうきたかい、レイナート」
 くるくるとシャイアは表情が変わる。
 無表情そうに見えて、実はとても感情の起伏が激しいのだ。
 
「相変わらずボクとは正反対の性格だなぁ、シャイアさん」
「ん? あんたはのほほんとした外見と違って相変わらず冷静だね」
 二人とも笑いながら話す。
 周囲のざわめきで、声を大きくしないと聞こえないくらいだ。
「冷静? そうなのかな…」
 幼い笑顔で、でも大人の瞳で、レイナートはシャイアを見つめる。
 アンバランスに成長してしまった、心と体。
「嫌かい? 今の自分が? あたしは自分が大好きだよ…ってこれは余計だね」
 ふる、とレイナートは首を横に振る。そして顔をシャイアに向ける。
「今の自分でなければ、会えない人がたくさんいました。シャイアさんにも、そしてあの子にも…」
 
この魔人の血脈によって出来た、どこかバランスの悪いボクだけれど。


「そうだね…あんたの理解者はたくさんいるよ? それを知ってるなら大丈夫だ」



「レイナート様! 探してたんですよ! あれ…シャイア様?」
 ソフィーが人混みをかき分けて、二人のもとにやってくる。
 人混みにもまれたのか、帽子を手で押さえているソフィーは、いつもと違ってとても年相応の少女の顔をしている。
 
「『あの子』登場だね♪ レイナート」
 にやり、とシャイアが妖しい笑みを浮かべる。
「あははは。そうですねぇ」
「? 何ですか」
 話が掴めないソフィーが、当惑して二人を見つめる。が、すぐに辺りを見回し、ため息をついた。
 レイナートがソフィーの顔を見て、こらこら、という表情になる。
「ソフィー、ああもう、そんなに頭を悩ませちゃダメだよ。白髪になるよ」
 
「あっはっはっは。白髪かい」
 ぎっと、ソフィーがレイナートを睨む。
「レイナート様! この収拾つけるのは誰だと思ってるんですか!」
「うーん。ボクだねー」
 考え込む仕草でレイナートは言うが、あまり悩んでいるように…いやはっきり言って見えない。
「そうだねぇ…皆、お祭りに夢中だからあんた達だろうねぇ、収拾するの」
 シャイアが無責任に言い放つ。
「じゃあ、ボク達も楽しめばいいんだ☆ お祭り騒ぎ。ね?」
 にっこりとソフィーが弱い、警戒心全くゼロの笑顔をレイナートが見せる。
「う゛…あ、私っ、ちょっと向こうを視察に行ってきますっ!」
 なんだかよくわからない理由で、ソフィーがぎくしゃくと騒ぎの中心へと歩き出す。
 
「あら…耳まで真っ赤だよ。かわいいじゃないか、あの子」
 ソフィーを楽しそうにシャイアは観察していた。
「じゃあ、シャイアさん。ボクも行きます」
 こちらも楽しそうに…嬉しそうにレイナート。
「あの子をしっかり守ってきな!」
「もちろん♪」
 
 追いついてきたレイナートに微かに視線をやり、弾みそうになる声を抑えてソフィーはたずねる。
「…レイナート様、シャイア様とのお話はもういいのですか…?」

「うん、もういいんだよ。ねぇソフィー?」
「はい。なんでしょうか?」
 レイナートが下からソフィーの顔を覗き込む。そしてにっこりと笑う。
「ボクらも踊らないかい?」
 奇妙な歌声や、大きな太鼓の音、笑い声や喝采、怒鳴り声が聞こえる中、それは小さな出来事。まるで子供の手を引くように、レイナートの手がソフィーの手を引く。
 

今日はお祭り騒ぎ。
 
みんなで歌って騒いで、泣いて笑って…
 
そう、取り戻したいのは、こんな世界。

 
> はっぴーエンドは目の前に
はっぴーエンドは目の前に
レイナート×ソフィー 戦後
 戦後・・・そう戦後。マドルクとの戦いが終わった。
 まず、レジェンドラ大陸で最初にに行われた行事は・・・
 
 
 
「結婚式・・・なんだよねぇ・・・」
 ボクは、ぼーっと目の前の儀式(結婚式)を眺めていた。
--ウェインとティリスの、大陸を挙げての盛大な結婚式。
 大陸中の人々の、幸せの代表! みたいな顔してたっけね。その場にいた皆も幸せを噛みしめるように笑ってた。
「ゴンゴスさんは・・・と、不幸の固まりみたいですね☆」
 と、顔を見ながら言ったら頭を殴られた。
「酷いなぁ。ボクの脳細胞は稀少なんですから、壊さないよう優しく叩いて下さいね?」
−ボカ。
 そう言ったらまた殴られた。さっきより痛かった。
 
 獣人族の王のくせに心が狭いなぁ・・・っと・・・嘘だよ。絶対、失恋するとわかっていたゴンゴスさんを見ているのも、楽しかったよ?

 ぬっと、ボクの目の前にバナナが差し出される。なんだか物凄いバナナだ。何が凄いって、中身じゃなくて皮が・・・金色に輝いてるよ。いや、本当に。中身は普通だけど。
 バナナを差し出しながらゴンゴスさんはからっと笑った。ボクが心の中で色々考えてる事なんか、きっと知らずに。
・・・ああ、でも。
 そんなゴンゴスさんがボクはとても大好きです。
 共に戦ったみんなが、ボクはとても大事です。
 そう思える自分も好きになれそうです。
 
 幸せなんだなぁ、ボク。

「ゴンゴスさん・・・おいしいです。このバナナ・・・」
 バナナを掲げてゴンゴスさんに話しかける。
「・・・そうだろ」
 城の物陰で−。しばらく黙々と二人、バナナを食べていた。
 バナナを食べ終わってしばらくしてから、「がぁ〜っ!!」とゴンゴスさんが叫ぶ。
「ちくしょう〜!! ティリス、オレ様が身を引いてやらぁっ!!」
「あははは♪」
 ボクの笑い声と、ゴンゴスさんの拳の音が、しばらく後に重なった。
  
 戦いも終わり、ボクたちは自分の居場所に帰ってく。
 時間が過ぎるのはとても早くて、目まぐるしくて・・・でも幸せで。
 何をこれからしようか、考えないといけない時期で・・・
 





 
 山積みにされた資料や報告書に埋もれながらボクはペンを紙に走らせる。なぜかって?
 1秒でも早く書きたいことがあるから。ボクは、ボクのやりたい事を見つけたんだ。

「それにしても・・・どうしてウェインとティリスの結婚式を思い出したのかな?」
 首を傾げる、と。
 体が、耳が、扉の向こうから人の来る気配を捉える。
「この足音は、ソフィーだ!」
 ペンを動かすことを中断してソフィーが来るのを待つ事にする。自然と顔は笑ってしまって。
「・・・長い間、こんな日が来るなんて思ってなかったな」
 ほんの些細な笑顔、生活。こんなレジェンドラ大陸だからボクは守りたかったのかも。喜びも悲しみも、それはすべて幸せの第一歩だと教えてくれたこの世界。・・・ボクを成長させてくれる世界。

 ボクは今、あの頃の戦いの記録を一冊の本にしようとしている。何十年、何百年経っても、人々がこの記憶を忘れないように・・・。
 書いても書いても書き終わらないのが実際の所。やりがいがあるね。
 
 扉が開かれる。
 ふっと、ボクは顔を上げる。

「レイナート様、請求されていた資料ですが・・・あまり無理はしないで下さいね。お茶にしませんか?」
 厚い本と資料の束を持ってきたソフィーがボクと机の上を見て、顔を曇らせながら言った。ソフィーの方が無理していそうなのだけどね?
 いつでもソフィーの瞳の奥には、ボクを「心配」している色が光って見える。実際は、彼女の方があぶなかっしくて心配なのだけど・・・秘密にしておこう☆
 だってね、心配されるのはとても気持ちがいいことだから。その間、彼女はずっとボクの事を考えてるんだよ? 最高だね♪
 だから余計に心配かけたくなっちゃうんだよなぁ。
 
「あ・だから思い出したのかな」
「は?」
 ぽんと、手を叩く。納得したら楽しくなってきた。
 突然笑い出したボクに、ソフィーが怪訝そうな顔をする。
 
「ねぇ、ソフィー?」
「はい」
 不思議そうな顔をしながらも律儀に返事を返してくれる。
 
「当たり前のことだけどね。これからもずっとボクの側にいてくれるよね?」
「え? はい。レイナート様は何を次にするのか怖くて目が離せませんから」
 ボクもいけしゃぁしゃぁと自分で言う方だと思うけど、ソフィーも結構きっぱり言い切った。思わず、にっこり笑ってしまう。
「レ、レイナート様?」
 日頃からボクの笑顔に騙されている・・・と思っているらしいソフィーは、ボクから慌てて視線を外して会話から逃げようとする。
・・・今は早く言ったモノ勝ち。
「嬉しいな。ソフィーから良い返事がもらえて」
「は? え?・・・あの、今の会話が何か・・・」
 あっさりボクは白状する。
「結婚のお誘い兼、愛の告白だよ? 大好きだよ、ソフィー」
 ボクの、特上の笑顔で。
「・・・・・・・・・・・・」
「あれ? ソフィ〜?」
 バサバサっと、ソフィーの腕に収まっていた資料や本が床に散らばる。
「ほ、本気ですか・・・」
「冗談じゃ言わないよ♪」
「冗談に聞こえるんですけど(汗)」
 そんなソフィーの顔は耳まで赤く染まっている。
 
 彼女は、ボクの嘘と本当を見分けられるはずだ。だからこの言葉が真実だと実感してる。たとえ騙されて頷かされたとしてもね。
 
「私でよろしいのですか? レイナート様にはもっと貴族のご令嬢とかっ・・・」
 自分で言っていてソフィーの顔が辛そうに歪む。
 素直じゃないなぁ。・・・ボクも相当素直じゃないけど。でもボクにはソフィーの気持ちが伝わってくるからいいや。ボクが知っていれば、ハッピーエンドだからね。
「ソフィーだからボクは良いんだよ。それに・・・見知らぬお嬢さんにボクの性格見せたら、逃げるよ?」
 
−城出するわ、魔術の暴発楽しんでるわ、すんごい手に負えない部下がたくさんいるわ、見た目と年齢にギャップ有るわ、実は人を裏から操るのがスキだとか。とにかくエトセトラ。
 
「レイナート様・・・」
「こんなに将来成長株は落ちてないと思うよ? しかも城付き」
 くすくすソフィーが笑い出す。
「自分で言いますか。・・・でも返事しちゃいましたし、こうなったら一生レイナート様を見張っています!!」
 ソフィーの笑顔は、見ていてとても幸せになる。
「ずっと見張られてるのはやだなぁ・・・」
 
「昔からずっと、見張っていましたよ?・・・お茶の用意してきますねっ!!」
 爆弾発言を残して、ソフィーはお茶の準備のために去ってしまう。資料と本は散らかったままだ。かなり混乱していたらしい。代わりにボクが床に散らばった資料や本を片づけ始める。
 
 幸せだね。浮かぶのはウェインとティリスの結婚式の景色。
 2人とも幸せそうに笑ってた。
 
 あの景色の中の主役2人。
 今度はその主役に、ボクとソフィーの笑顔があるのかな?


 
 あるな。きっと。
 
> 1ミクロンの友情の価値
1ミクロンの友情の価値
 
> 久遠の誓い
久遠の誓い
DF2 サニス&カトゥマンドゥ+誰かさん
「今日はなんだかここに来たかったの。不思議な気分よ、カトゥマンドゥ」
 花や草も生えてはいるが…とある廃墟に、サニスはなぜか足を運んでいた。カトゥマンドゥを隣に従え、ぼーっとサニスは石に座って空を見つめている。
 
「さにす、フシギ?」
 ぎこちない機械音で、カトゥマンドゥが声を出す。
「うん。とぉーってもフシギ☆」
 さわさわと、草原になりつつある廃墟に気持ちよく風が駆け抜けていく。帽子とスカートの裾を押さえながらサニスが笑う。
「みんな心配するかしら?
 でも、何て表現すればいいのかしら…自分の中の《何か》。大切な何かがわたしをここに呼んだような、なんていうか…」
「さにす。理解不能」
「ん、もう!」
 苦笑しながらサニスがカトゥマンドゥの銀色のボディに寄りかかる。
 
 
*
 
 
「こんにちは。小さな王女様」
 高くもなく低くもない、少年の声。その突然の声は、紛れもなくサニスに挨拶をしていた。 
「え…?」
 ふっと声の聞こえた方にサニスが振り向く。
 廃墟の中心、瓦礫の上に…腰掛けた少年が一人。
(見た目はわたし位? だけど…)
 深紅の法衣を纏った少年の、これまた深紅の瞳は…とても深い理知と歳月の光を宿していて…。少年なのか、青年なのか…。サニスにはどちらかよく分からなかった。しかし、警戒する必要などサニスにはなかった。その少年がにっこりと微笑んでいたから。その笑顔だけで、サニスには十分。
 
 帽子を押さえながら少年がひょいっと瓦礫から見事に地面に着地する。
 
「…! オマエ! レ…」
「今日ボクは、ここで待ち合わせをしているんだ」
 カトゥマンドゥの言葉を消すように、少年がサニスに近づき話す。
 それから、いたずらっ子のように笑い、カトゥマンドゥに「しー」っと一差し指を立てる。
「あらためてこんにちは。サニス王女。ボクは…うーん、! ヴァルと呼んでくれればいいよ」
 にこにこと無邪気に笑いながら少年はサニスに名前を名乗る。
「はい。こんにちは! 初めましてヴァルさん」
 いかにも妖しい(偽名っぽい)名前なのだが、サニスも笑顔で応答する。
「レ…」
 ただ一人(機)カトゥマンドゥだけが無表情ながら現実を知っている。
「ヴァル! だよ? カトゥマンドゥ?」
 にっこり。
「あれ? ヴァルさんと知り合いなの、カトゥマンドゥ?」
「…さにす。休眠モードおん」
「ええっ!」
 ういーんと音が一回ボディから聞こえると、それきりカトゥマンドゥは静かになってしまった。
「もぉ! 帰るときには起きてね? カトゥマンドゥ」
「あははは。カトゥマンドゥかわいいなぁ」
 ヴァルが楽しそうに笑う。サニスもつられて笑ってしまう。
「ヴァルさん。今日は誰と待ち合わせをしてらっしゃるのですか?」
 ふっとヴァルの瞳が優しく和む。
「一番大切な人と待ち合わせ。というか…一方的に会いに来たっていうか☆」

 
   やっと、顔を合わせる勇気が出来たんだ。
 
 
 そう言った後、ヴァルが少し寂しそうに見えたのは…サニスの気のせいだろうか?
「トラッドのあ…ムカシ…」
 突然、休眠モードに入っていたカトゥマンドゥが言葉を放つ。そしてまた黙る。
「カトゥマンドゥ?」
 カトゥマンドゥを懐かし気に見つめヴァルが話す。
「そういえば…トラッドノア出身なんだよ、ボク?」
 服、なんとなく似てるよね、と見比べながら。
「そういえば…トラッドノアの服装ですね。あまり見かけないデザインですが、いいですね、その服♪」
 楽しそうにサニスが話す。
(トラッドノアにこんな方いたのね…とても目立ちそうなのに…わたし知らなかった…)
 それに、側にいるだけで感じるこの巨大な魔力は何?
 サニスがそんな事に今更のように気付く。と、それを待っていたかのように、廃墟に強い風が吹き抜ける。サニスは慌てて帽子を押さえる。
 
「ヴァル、さん?」
 そんな中、ヴァルの身体は何かに守られているように、そよとも風に揺れない。サニスと目があったヴァルはただ、ただ優しく微笑む。
「時間、みたいだね」
 なんだか寂しくなって、サニスはヴァルの服をぎゅっと握る。ここに存在していることを確認するように。
「あのっ! あのっ…え…お、お父様?」
 ヴァルの背後…奥の廃墟、父の姿が見える。一瞬笑うと父の姿は消える。
 ヴァルはそっと、サニスを抱きしめる。万感の思いを込めて、囁く。
「がんばれ、サニス。君はボクが出来なかったことを…ううん、君のやりたいことを実現して。この世界で…君たちで創るレジェンドラで…」
 ヴァルの腕の中で、サニスは懸命に名前を思い出そうとしていた。
「わたし、あなたを知ってる? いいえ、知ってます。今日わたしがここに来たのは…」
 
「ボクが呼んだのかな? それとも…。今日はね、ボクが最低の男になった日だったんだ。やっと会えるんだ。…世界が動き出すまでボクは彼女に顔向けできない身だったし」
「どういう…?」
 
「ありがとう。君達のおかげだよサニス。そして…ありがとう、ボクにこんな素晴らしい子と出会わせてくれて。黙って行ってごめん」
「?」
 最後の言葉にサニスが首を傾げる。が、突然体中暖かくなり、すっと何かが自分の中から出ていった感覚。
 
 ヴァルとサニスの前に神官の女性が一人、忽然と現れた。
 
「…待ちくたびれて、怒る気にもなりませんっ!」
 そう言って、強情にその女性は横を向いてしまう。ちなみに目は涙で潤んでいる。
 サニスに少し笑ってから、ヴァルがその人物の所へ近づく。
「ごめん。ごめんよ、ソフィー。もうどこにも消えない」
 その言葉を聞き、嬉しそうに女性…ソフィーがヴァルに寄り添う。
 
「わたしの身体から人? 知ってる? ううん?」
(心が、血が…無意識に覚えてる)
 ヴァルが、サニスに視線を向ける。
「サニス、今日は来てくれてありがとう。君の中のその力を大事にして」
 妹に話しかけるように、娘に聞かせるように。
「ヴァルさん…」
 その名前を聞いてソフィーが一瞬固まる。そしてヴァルを睨む。
「ヴァル…ハートさんですか…。まったく、なんて名前名乗ってるんですっ!」
「あー! そうだった! サニス、ボクの本当の名前はね…」
 
 
 
 
 
 
 昔、昔、8人の英雄がおりました。
  
 彼らの辿った結末は…
 
 昔、昔のお話で、その結末を知る術はありません。
 
 だけれども…

 
 
 
 
 瓦礫の幻だったかのように、二人の姿は消えている。もちろん父の姿も…。
「でも、夢じゃないね!」
(城に帰ったらみんなに伝えなきゃ!)
 幸せそうだったあの人の姿を。あの人達の姿を。
「さあ! 城に帰りましょう! って、カトゥマンドゥ!起きてよ〜」
 サニスのどこか楽しそうな叫び声が、廃墟に響く。


 
 けれども…
 彼らが願った現実は、今ここに。

 
> トリスタンの平和な1日
トリスタンの平和な1日
 
> TOP SECRET
TOP SECRET
レイナート&レオン&シャイアさん
 マドルクを倒した各国の君主達、そして身近な臣下達のみで開かれたささやかな宴。そんな中でトパーズの君主レオンはぼそっと言った。
「しっかしシャイアとレイナートが魔法学院の同期とはなあ」
 そこまで言って---(最悪な組み合わせだ)そんな言葉をあわててレオンは飲み込んだ。
 
「おや? レオン坊や。まだ何か言いたそうじゃないか」
 眼鏡を上に押し上げながら、シャイアはにやっとレオンに笑いかけた。同じく隣にいたレイナートもにっこりと【無邪気そうな】笑顔をレオンに向ける。
(こ、怖えぇぇ〜)
 逃げ出したい衝動をなんとかレオンは堪え、ワザとらしく咳払いをした。
「そういえばシャイアさん」
 レオンを哀れに思ったかどうかは謎だが、レイナートが助け舟よろしくシャイアに話しかける。
「ん? なんだいレイナート」
「まだ聞いた事がありませんでした、トパーズの居心地はどうですか? 楽しいですか?」
 愚問、とばかりにシャイアが楽しそうに笑う。
「いる奴等はみ〜んな堅物だけどそこがまたおもしろくて最高よぉ。レイナートも今度遊びにおいで。・・・そうそう、一番おもしろいのはこの坊やなんだけどね〜」
 バシバシと力加減もなくシャイアはレオンの背中を叩く。
「イテェっての!・・・あ、つーかさ、オレがガキの頃にシャイアがトパーズに来たんだよな? もちろん学院は卒業してて・・・」
「そうだけど、それがどうかしたのかい?」
 シャイアをまじまじっと見つめる。
(シャイアの年はどう無理矢理若くサバよんだって29かそこらだよなぁ)
 今度はちらりと、レイナートに目をやる。
 明らかに自分より年下っぽい外見の(それどころか十代にさえも見える)少年?青年に疑問を抱く。
 
 げし。
 と、そんな事を考えたレオンに、不意打ちでシャイアの拳が気持ちよくボディに決まった。
 
「げほっっ!」
 
「レオン坊や、あんた考えてることが顔に出すぎ。人の顔をじろじろとぶしつけに眺めんじゃないよ」
 ぷっと、レイナートが笑いを堪える。
「シャイアとレイナートが同期・・・どういう事だよ?」
 レオンはシャイアに殴られた部分をさすりながら、殴られたばかりにも関わらず先ほど思った疑問を口にする。
 レイナートとシャイアは顔を見合わせて笑った。
 
「分かりませんか?」
 レイナートの悪戯っぽい表情にレオンはついムキになる。
「今考えるから答えはまだ言うなっっ!」
 考え込み始めたレオンを他所に、シャイアは悠々とワインや酒に手を伸ばしはじめた。その酒を口に含むペースは恐ろしいほど早かった。
 レオンを横目でおもしろそうに眺めつつ、レイナートはシャイアに話しかける。
「やっぱり相変わらずうわばみなんですね」
 そう言いながら、レイナートもコクコクとワインを飲み進めていた。
「あんた程に底抜けって分けじゃないわよ、レイナート?」
「あはははは! ボクなんてまだまだですよ〜。さすがにソフィーには敵いません」
 二人、けろりとした顔で笑いあう。
「昔はよく飲みまくってたけどさ、トパーズはモンクが多くってねぇ。さすがにそういうトコはみんな堅いっていうかねぇ。あたしも飲む量が減ったよ」
 酒の飲めない悔しさをブツブツとレイナートに漏らす。レイナートも慣れたもので、ふんふんと相槌を付きながら程よく聞き流す。
「昔はボクを無理矢理付き合わせましたよね〜。トイスの目を盗んでいくのは結構楽しかったですけど」
 この同期たちは一体どんな学院生活を送ってきたのか。背後では尚、レオンが考え込んでいる。
 ちらりとレオンに視線を送りシャイアは呆れながら言った。
「あんまり考えなくても分かると思うんだけどねえ」
「こういう事は謎にしておくのが楽しいんですよね」
 レイナートがにっこりと再び笑う。
「トパーズは本当に楽しそうな所そうですね。気が向いたらトラッドノアにもぜひ遊びに来てくださいねシャイアさん」
 「じゃあボクそろそろ行きますね」---レイナートを見つけ出したソフィーが丁度こちらに見えていた。
 
 
「なあシャイア」
「なんだい?」
「ヒントくれ」
「・・・まだ考えてたのかい」
 まだ答えの出ていないレオンを見て、シャイアは呆れを通り越して、なんだか手のかかる息子を目の前にしている母親の心境になってきてしまった。
(アタシはまだ独身だよ・・・)そう思いつつ、なんだかトパーズから離れられない訳を再確認(何しろこんな奴等ばかりゴロゴロいるのだ)してしまったシャイアである。
「ヒントねぇ。とりあえずレイナートお見てごらん」
「ん、ああ」
 レオンはレイナートを目で探す。以外にあっさりとトラッドノアの君主は見つかった。隣に獣人達の王ゴンゴスの巨体があったから目が行ったのだ。
「あの二人は仲がいいのかわりぃのか・・・」
 イメージ的にはボケとツッコミを交互で出来る二人だと、全く関係のないことを考えながらもレイナートをそのまま観察してみる。
 ゴンゴスに何かを話しかけられたのかこくこくと素直に頷いている。
『        』
 何か返事をゴンゴスに返すと、レイナートとゴンゴスは二人そろって目の前にあるテーブルの料理(シェフが腕によりをかけた品々)に素手を伸ばした。
「・・・・何やってんだあいつ等は・・・」
 なんとなく頭痛がして、思わず額に手を当ててしまう。
(ジュノーンがあの二人が揃っているのを見ると疲れた顔をする気持ちがなんとなく分かったような・・・)
 レイナート、ゴンゴス(もしかしたらティリスも入るかもしれないが)は、普段冷静なジュノーンを会話のみで『降参だ』と言わしめたほど追い込んだことのある前科持ちなのである。滅多なことでは顔色一つ変えないジュノーンではあるがこの2人の事になると「あいつらは私では無理だからな!」と顔色を変えるのである。
 まあそれはともかく。素手で摘み食いを実行しようとしていた二人の犯行は未遂で終わった。
 レイナートとゴンゴスの背後に《ゴゴゴゴ・・・》という効果音がまさにぴったりなソフィーが仁王立ちしていたからである。
 ちらりとゴンゴスに視線をレイナートが送る。ブンブンとゴンゴスが無言で首を縦に振り・・・・二人共それはそれは素早く逃げた。
「・・・・・・」
「・・・坊や、ったく何呆気にとられてんだい。レオン坊ったら」
 大声で《坊や》を連呼されて、レオンはがっと我にかえる。
「だーっっ!! その坊やはやめてくれっっ!」
「無理だね。あんたがもっと精神的に大人になんない限りはさ・・・って危ない答えを言うところだったよ」
 ウィンク一つシャイアはレオンにしさっさと行ってしまった。
「おい!? ちょっと待ってくれヒントにすらなってねぇよそれ!!」
 取り残されたレオンの空しい叫びが会場に響き渡る。
 
 
「あれ、シャイアさん? レオンさんはどうしたんです」
 会場を移動して中庭に出てきたシャイアにレイナートが話しかけてきた(おそらくソフィーから逃げている)。そうしてシャイアはあっさり一言返す。
「置いてきた」
 くすっとレイナートが笑う。そうして「いいなあ」と呟く。
「あの人はボクに無いものを持っている」
「おやめずらしい? あんたが弱音を吐くのかい」
「本音ですよ。急ぎすぎたボクが学び忘れてしまったものだ」
 ほんの少し感慨深げに。
 レイナートの帽子を無造作に奪うと、シャイアはぐしゃぐしゃとレイナートの髪を乱しながら撫でた。
「うわ」
「あんたもこれからゆっくり学びなおせばいいだろ? あいつも、学んで欲しいもんだね」
 くすくすとレイナートが嬉しそうに笑う。
「ボクと学ぶものがまるっきり逆、なんじゃ?」
 レイナートの頭から手を離し、ポンとシャイアが手を打った。そして明らかに企んでいる笑顔を浮かべる。
「いっそのこと坊やをトラッドノアに留学させちまおうかねぇ」
「ああそれはぜひ。楽しみだなあ」
 
 会場で、レオンが一人大きなくしゃみをしたのは言うまでもない。
「・・・なんだか嫌な予感がするぜ。てか結局レイナートの年は幾つなんだぁぁっ」
 そしてまた、レオンの声が会場に響き渡るのであった・・・。
 
> マイベスト・DFキャラ
2008/11/06
マイベスト・DFキャラ
マイベストキャラについてつらつらと春が思ってる事を。
DFでのマイベストって言ったらそりゃもうレイナート以外ありえない。
なんでこんなにレイナートが好きなのかな〜、ってやっぱり、何考えてるか分からないところとか、底が見えないところとか、年齢が実際いくつなんですかっとか。
ほんわかしつつも笑顔で何かやってそうなカンジとか…。
うん、胡散臭い部分が大好きです(笑顔)

闘神ヴァルハートの血を継ぐ者って響きもおいしい。
メテオストームが反則的に強いのもイイ。
あとは赤いトラッドノアの衣装と帽子、ビジュアルも大好物でした。
大好物要素がぎゅうぎゅう詰まってたんですよね、レイナートは。
 
色々と自分の中でレイナートの解釈(妄想)が膨らんできて…止まらなくなりました。
10代からのお付き合いでもうすぐ自分は三十路。しかし愛は変わらず(笑)
大好きです!
 
 
*トキノコエ的勝手に妄想設定*
・見た目は14〜15才、実際は20代後半〜30代前半
・ヴァルハートの血が色濃く出たため、魔力が強く身体的成長が緩やか
・シャイアさんとはトラッドノア魔法学院時代の同期
・過去、幼いソフィーを保護した事がある
・レイナートを出産時に母親は亡くなっている
・「普通」に憧れを持っている
・割とお酒はイケる方。しかしソフィーには敵わない

 
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