ぼくはぼくだ。そう言ってくれたのは君だけ
幼少ギン
 昔っから、表情を変えるんが苦手やった。
 ちょっと相手の気持ちを油断さすんに笑顔はうってつけで、気が付いたら常に笑ろてる表情が張り付いて板についとったなァ。
 どんなことがあっても笑うとったもんやから、逆に『可愛げがない』『薄気味悪い』とかよう言われて「そりゃあえろうすんまへん」ってカンジやね。
 
 せやけどあの娘だけは特別変わった神経を持ってたんやね。
 やって『笑ってようが笑ってなかろうがあんたはあんたでしょ』とか言いなはるんやもん。
 えらいびっくりした。そんなん言われたん初めて。
 なんやこそばゆいけど嬉しいなあ。
 
「ボクもどんなけったいな顔の乱菊でも好きやで」
 えらく感動して返した言葉は、その娘にはよう通じんかったみたい。
『けったいは余計よバカギン!』
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2006/9/22
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